題 目
色彩間苅豆 (かさね)
作 者

鶴屋南北

筋 書

与右衛門は、家中の腰元のかさねと深い仲になったが、家中の仲はご法度、不義密通であった。いろいろな悪事も重ねていたため、居られなくなった与右衛門は心中の約束をしていたかさねを置き去りにして生まれ故郷に帰ってしまう。ひとり残されたかさねは後を追って木下川までやってきたときに、与右衛門を見つける。暑い夏の夜であった。最初は一人で帰れと打ち捨てるがかさねは引き下がらない。心中する決心をしたとき、風が吹いてきて川上から髑髏が卒塔婆に乗って流れてきた。刀で引き寄せてみると、さびついた草刈鎌が右目に突き刺さっていて「俗名」と書いてある。思わず息をのむ与右衛門だった。。実は昔、与右衛門はかさねの母親ともねんごろになっており、かさねの父親の助を草刈鎌で殺していたのだ。与右衛門が卒塔婆を折るとかさねは足が痛み出し、髑髏を鎌で打割るとかさねは悲鳴をあげて倒れこみ苦しみもがいてしまう。その上に、与右衛門を捕手たちが囲む。捕手の持つ手紙がそれを物語っていた。与右衛門はそれを読み家中の悪業がすべてばれたことを知るが、かさねは恋文と勘違いをしてものすごい形相になる。なんとしても早く逃げようとする与右衛門にかさねはとりすがり、このときにはかさねの顔はただれて醜く変わっており妖怪のようになっていた。助の怨念なのかかさねの気持ちからなのか、与右衛門はかさねを鎌でめった斬りにし、かさねは土橋の上で血潮にまみれて立つ。与右衛門は、ひどい形相の顔を鏡で見せ、昔の因業を陰残に語りとどめを刺す。 そして立去っていく与右衛門・・・でも走れば走るほどかさねの強い怨念に引き戻され、全く前に進むことができなくなってしまう。

見 処

法懸松成田利剣の狂言の浄瑠璃。かさねが可愛らしい女だったところから裏切られてすごい形相になっていくところが見もの。また土橋の上での見得や与右衛門が逃げても逃げてもかさねの怨念に引き戻されるところが見事。塁塚が目黒祐天寺にあり、かさねを演じる役者は詣でるのが慣習だとか。

 

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送