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「深川新地鼻の場」
深川芸者の小万と笹野屋三五郎のふたりは夫婦だが子供までいる。小万は三五郎の父の主人の金策の為に身を売って稼いでいた。
ふたりは、小万に執心の薩摩源五兵衛から金を絞り取る相談を舟でしている。薩摩源五兵衛、実は塩谷浪人の不破数右衛門である。
「深川大和町の場」
薩摩源五兵衛宅にやってきた小万の腕に五大力の文字があった。 源五兵衛への気持ちを示すために彫った刺青だという。小万がますます愛しくなってくる源五兵衛だった。
そこへ伯父の富森助右衛門が百両を持ってやってくる。 昔御用金を盗まれ勘当になっていた源五兵衛は、 御用金を償うことで討入りの連判に加えてもらえるために必要だった。早速、大星由良之助に届けるよう言い帰る助右衛門だが、小万が聞いていた。小万から百両の話を聞いた三五郎が
源五兵衛を言葉巧みに誘い出しにきた。
「二軒茶屋伊勢屋の場」
三五郎に誘われて源五兵衛は深川の伊勢屋で、賎ヶ谷伴右衛門の小万の身請け話が行われているところへやってきた。小万は五大力の彫り物を見せ、
源五兵衛の女房だと言う。自害しようとする実は小万の芝居にのせられて源五兵衛は百両を出してしまう。これをたまたま見た助右衛門は再度源五兵衛を勘当する。小万を妻として連れて帰ろうとする源五兵衛の前に三五郎が立ちはだかり、自分が小万の亭主だという。五大力の刺青のことも全てほんとうのことを打ち明けられ、源五兵衛は色香に迷った自分を恥じ怒りを耐えて帰る。
「五人切の場」
三五郎と小万は自身番横丁の虎蔵の家に芝居をした連中と集っていた。小万は三五郎に腕の五大力の彫り物に針を加えて三五大切とされていた。みなが寝いった夜中に源五兵衛が丸窓を破って入り、階下に寝ていた男女を殺し五人切りとなる。
気配に気づいた小万と三五郎は逃れる。
「四谷鬼横町の場」
お岩さんの幽霊が出るという古長屋へ小万と三五郎引っ越してきた。 家主の弥助は小万兄である。三五郎の父親、徳右衛門に源五兵衛からだまし取った百両を渡す。
父親は三五郎の勘当を解きいずれ主人に会わせたいと出かけていく。入れ違いに酒を持って源五兵衛が現れる。今までのどこか抜けた浪人とは違って恐ろしい来客と化している。小万も三五郎もおびえていたが、源五兵衛は小万のことは思い切ると言い帰っていった。
夜中に幽霊騒ぎで、三五郎は高師直の館の絵図面を見つける、譲ってくれるよう弥助に頼むが断られる。 実は弥助が御用金強奪の犯人であることがわかり三五郎と争いになり、源五兵衛が持ってきた酒を飲んだ弥助は突如苦しみだす。三五郎は弥助を出刃で殺すことになってしまう。兄殺しとなった三五郎は父の家の四斗樽に身を隠す。
源五兵衛がまたやってきた。置いていった毒酒の成果を確認しにやってきた。生きていた小万への恨みを並べいたぶりなぶり殺しにし、小万の手に刀を握らせ赤ん坊も殺す。
源五兵衛は小万の首を布に包んで懐に入れ出て行く。
「愛染院門前」
三五郎の父親の家となっている愛染院にやってきた源五兵衛は小万の首を机に置き、 差し向かいで食事をする。実は三五郎の父親徳右衛門がやってくる。実は徳右衛門の主人は源五兵衛こと不破数右衛門であった。絵図面を源五兵衛に渡すが、
源五兵衛は悪事の数々を話す。そこで徳右衛門は自分の子供夫婦が自分の為に自分の主人から金を騙し取っていたことを知る。 死のうとする源五兵衛に樽の中から声がした。
なんと三五郎が出刃包丁で自らの腹を切って全てを侘びていた。源五兵衛の罪も自分が背負うから仇討の一味に加わって欲しいと訴える。源五兵衛は義士のひとりと列に加わるのであった。
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