題 目
源平布引滝
作 者

並木千柳、三好松洛

筋 書

平治の乱で敗れた源義朝が長田太郎末宗に殺され六波羅で晒された時に、弟の木曾先生義賢は平家に降る。義朝縁の白旗を後白河法皇が密かに義賢に私たために法皇を清盛は鳥羽に押し込めてしまう。布引滝の竜神の神託で平家滅亡が近いと聞いた清盛は、源氏の白旗と宝刀を破棄し、源氏の流れをくむ者を根絶やしにするよう命じたが白旗と宝刀は何者かに奪われてしまう。また、源氏縁の多田蔵人行綱は平家打倒を願い見を隠し、近江の小野原村の百姓九郎助の娘小万との間に太郎吉という子供を作っていた。しかし7年も行方がわからない。
「義賢最期」
義賢は館に引きこもっており、後妻の葵御前はが懐妊中であった。先妻の待宵姫は下男の折平と忍びあう仲だが、その折平が実は行綱であり、九郎助が小万と太郎吉を連れて折平を返してくれとやってくる。待宵姫は嫉妬して折平に怒るが取り合わずにいた。折平は義賢に行綱宛ての手紙を預かったが行った先にはそれといった屋敷がなかったと帰ってくるが、密書の帯が切れているので折平に縁先の待つを折り取って手水鉢に討ちつけ石面が微塵に砕け散る。石面だけを割ったのは水の源を保つという意味で源氏の思い忘れていない証であった。折平は懐から密書の返事を渡す。義賢は懐中から白旗を取り出し折平は只者ではないと睨んで密書を託したことを明かす。互いに源氏への思いを語りあい、義賢は待宵姫と行綱を娶わせる固めの盃をかわそうとしていた。 そこへ清盛の使者高橋判官と長田太郎が白旗の詮議に来る。 義賢を疑い、兄義朝の髑髏をを足蹴にして潔白を証明しろと迫るが、長田の頭を打ち砕くものの高橋判官は逃してしまう。逃げるように勧める行綱に、義賢は潔く討死するので待宵姫と共に伊豆の頼朝を訪ねるように頼む。遠くから攻め太鼓の音が響く中、妻の葵御前たちと別れの杯をかわし源氏の白旗を妻に託す。 やがて平家方が攻め込んでくる。討死覚悟の義賢は防具もつけず応戦し、 壮絶な最期を迎えるのだった。
「実盛物語」
琵琶湖のほとり、小野原村にたどりついた九郎助の家にかくまわれている葵御前は、小万が源氏の白旗を預かったままはぐれて戻ってこないのを心配している。 九郎助が太郎吉と鮒捕りに琵琶湖へ行くと、 白い絹を握った女の片腕が網にかかる。葵御前が確認すると白い絹は源氏の白旗だった。そこへ平家の侍、斎藤実盛瀬尾十郎兼氏のふたりが葵御前と懐妊中の子供を詮議しにくる。 生まれる子が男なら殺せ、という命を受けてきたのだが、苦し紛れに九郎助の女房がたった今生まれたばかりだと錦にくるんで女の腕を差し出した。馬鹿なと呆れ笑う瀬尾を実盛は故事を引いて言いつくろう。実盛は元々源氏方で、葵御前をひそかに助けようとしていたのだった。瀬尾を帰したあとで見覚えがあると、宗盛の伴ヰをして竹生島詣の帰途で御座船に泳ぎ着こうとした小万と名乗る女が白旗を持っていたため奪い合いになったために、白旗を守ろうと女の腕を切り落としたという。助けようと思ったが平家方に渡ることを恐れたためだと話した。嘆いて哀しんでいたところに猟師が小万の死骸が運び込んできた。実盛は思いついて切った腕に白旗を持たせ死骸に繋ぎ合わせ、名を呼ぶと子を思う一念か、小万はいったん息を吹き返す。 白旗が無事だったことを知ると、安堵の表情で死んでいった。 実は小万は堅田之浦で拾った捨て子で平家某という書付がついていたという。 そうこうするうちに葵御前が木曽義仲になる男の子駒王丸を生む。小万の墓にちなんで太郎吉を手塚太郎光盛となり若君の家臣にと頼むが、 葵御前は平家方の血を引くからには功を立ててからと言う。帰ったと思われていた瀬尾があらわれ「男が生まれたなら若君を渡せ」と迫る。太郎吉が、母親の形見の刀で瀬尾の脇腹を刺す。すると、なんと瀬尾こそが小万の父親で、九郎助夫婦の恩に報いるために、わざと太郎吉に手柄を立てさせるためにだったと「太郎吉を家来にしてやってくれ、太郎吉の手柄にしてやってくれ」と頼み、太郎吉に自分の首をはねさせる。この功により、若君の家臣となることが許され、実盛は太郎吉に成人した後に合戦の場で再会し、そのときには白髪を黒く染めて潔く討たれようと帰っていく。

見 処

義賢の最後はよろいを着けずに闘い高二重に瀕死の状態で立ち、左右の袖を広げて平舞台にうつぶせに仏倒れし、首だけもたげて見得がはいったあと死ぬところがスゴイ!非常に危険な演出だがとっても見応えがある。緊張感のあふれる場面が溢れている。

 

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