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河内の高安左衛門に妾腹の次郎丸と正妻の子俊徳丸がいた。俊徳丸のほうが跡継ぎだったが弟だった。次郎丸は妬んで家横領を企んでいた。
ある日、俊徳丸は継母の玉手御前に恋を打ち明けられる。玉手御前は両方の子供とは血が繋がってはいない上に次郎丸と年も変わらない。俊徳丸には浅香姫という許嫁がいたし応じられるわけがなく拒否する。逆上したのか玉手御前は俊徳丸に毒酒を飲ませた。
俊徳丸の美しい顔は醜く崩れ、目も見えなくなったので恐ろしくなって家出をする。しかし玉手御前も追いかけて家を飛び出した。俊徳丸は浅香姫とともに玉手御前の実父、合邦道心の庵に身を寄せる。夜遅く玉手御前がやってきた。
玉手御前は何としても俊徳丸と夫婦になりたいと恋に狂った状態で、父親の諫めの言葉も聞かない。俊徳丸は浅香姫といっしょに逃げようとするが、玉手御前がまとわりつき離れようとしない。そんな娘の姿に合邦は、駆け寄ると娘の脇腹を刺す。玉手御前は死にかけた息の中、恋というのは見せ掛けで実は継母としての義を通すためと話し始める。
俊徳丸が家督を相続しなければ、次郎丸に殺されることもないし毒酒を飲ませ病気にしたらよいと考えたと語る。 さらに、寅の年、寅の月、寅の日、寅の刻の揃った生まれの自分の生き血を飲ませれば、
俊徳丸の病気も治ると言う。俊徳丸も継母の手をとり、様々な玉手御前の行為に感謝する。 玉手御前の生き血を飲まされた俊徳丸は、もとの姿に戻り目も復活した。
やがて満玉手御前は息絶える。
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