題 目
曽我綉侠御所染
作 者

河竹黙阿弥

筋 書

奥州の城主浅間巴之丞良治は細川管領家からの命で東山義政公に献上する折杵の茶杓の探索と鑑定を茶人団之一斉に命じ代金の百両を渡した。狩の帰りに名取川のほとりで出会った旅娘に時鳥(ほととぎす)と名づけて愛妾とする。一斉は忍術使いに襲われ金を奪われる。駆けつけた忘貝(わすれがい)寄居虫(やどかり)という娘と、召使のおつゆに顛末を話し死ぬ。寄居虫は昔淀の夜船で妹のさざなみと間違えそのまま我子として育てていた。二人の娘は一斉の仇討ちに剣術修行を励んでいたところ、悪人から重宝朝日の鏡が偶然にもおつゆの夫の手に渡る。

悪臣猿島弥九郎は円之丞正妻の撫子姫の母百合の方と結託し陰謀が練られていた。百合の方は愛妾時鳥を寵愛したため激しく憎み、医師武隈鈍玄に命じて秘薬を飲ませ顔面に悪瘡を出し醜女になる病気に苦しませる。時鳥の前に口封じで殺された鈍玄の亡霊が現れ百合の方が毒薬を頼んだ手紙と病気を治す薬と効能書を渡し罪を詫びて消える。時鳥は教えられたとおりにすると病気は治るが、百合の方になぶり殺しにされてかきつばたの咲く泉水に沈められる。時鳥は撫子姫にとりついて責めさいなむ。忠臣雪枝弥惣太が怨霊にきりつけると時鳥ではなく猿島弥九郎で、弥九郎はこれまでの悪事をすべて明かすが時鳥の怨霊は撫子姫を狂死させる。

出府中の巴之丞は御所ノ五郎蔵とともに五条坂で時鳥と面影が似た傾城逢州を見染め、腰元で五郎蔵の妻で傾城の皐月と再会する。五郎蔵と皐月は巴之丞の母に不義の仲を救われたものの困窮し苦界に身を沈めていたのだった。逢州は巴之丞と兄妹同様の仲であり、一斉の娘忘貝であると名乗り父から託された茶道の一巻を巴之丞に渡す。巴之丞は逢州の客となり愛妾時鳥は淀の夜船で取り違えられた子供で逢州との実の姉妹であったこともわかった。その時円之丞の秘蔵の笛を吹きながら時鳥が現れて姉妹の対面をする。実の父一斉が非業の死を遂げたと知ると悪鬼の形相に変わり敵を晴らさんといって消え、白木の位牌が残った。位牌は確かに時鳥のもので国許の悪事一切を知らせる雪枝弥惣太がやってくる。

7年前に浅間家を追放された御所ノ五郎蔵こと須崎角弥は御所組の筆頭頭で星影組の星影土右衛門と対立している。さつきに横恋慕して五郎蔵とさつきが追放された原因となった土右衛門は今度はその皐月の間夫になろうとしている。円之丞が揚巻逢州の揚げ代100両を請求されて五郎蔵が金策に走っていると聞き、五郎蔵と添っていると苦労が耐えぬと土右衛門から100両ださせるかわりに離縁状を書かされる。待ち伏せしていた五郎蔵は土右衛門を取り逃がすが逢州が皐月になって身代わりに殺される。五郎蔵は逢州の書置きと首を見て激しく驚き、主君の愛人を殺したとなってはと五郎蔵と皐月は自害する。その後五郎蔵の母の話で五郎蔵と寄居無視は父違いの兄妹であることがわかる。五郎蔵は土右衛門が妖術使いであると聞き本当の敵は土右衛門だったと悟る。後事を頼み五郎蔵は尺八、皐月は胡弓を演奏しながら息絶える。

見 処

皐月の離縁の場や楽器を演奏しながら死んでいく五郎蔵と皐月の場は見もの。また時鳥が百合の方に嬲り殺されるところも責め場として有名。

 

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