題 目
梅雨小袖昔八丈  (髪結新三)
作 者

河竹黙阿弥

筋 書

白子屋
江戸新材木町の材木商白子屋では不慮の事故から多額の借金を抱えて立ち行かなくなり主人庄三郎が病死している。以来、後家のお常がは頑張ってみたものの店を建て直すことができない。姪お菊を娘同然に育ててもらって恩義を感じていた忠義者車夫の善八は、一人娘お熊の婿に五百両の持参金付きの豪商桑名屋の番頭又四郎を婿として世話したのだった。 白子屋に材木を求めて客が来るが品揃えが悪い。おまけに高崎屋利兵衛が貸した金五百両の日限が切れたので取り立てにやってくる。お常は婿取りの話をして猶予を頼んだ。善八と仲人加賀屋藤兵衛が結納の目録と品物が届けられる。ところが、一人娘のお熊は、それを知らされて嘆き悲しむ。お熊は 手代の忠七と言い交わしていたのだった。家のために、いったんは納得したものの、掛け取りから戻った忠七に「連れて逃げて」と頼むが忠七は子供の頃から世話になっているのに不忠になることはできないとたしなめる。 そうした様子を立ち聞いていたのは髪結の新三で忠七の髪をすきながら、家にかくまってやるから、お熊を連れて逃げろ、思いつめてお熊が身投げでもしたらその方が不忠になるとけしかける。 新三の親切を信じた忠七は、お熊が今宵逃げなければ身投げするというので覚悟をきめる。
永代橋川端
夜更けにお熊を駕籠で先に新三の長屋まで送り、忠七は新三と相合傘で連れ立って永代橋のたもとへとやってきた。 新三の態度が一変し傘の外に忠七を追い出す。それを咎めた忠七に「お熊は俺の女だからさらった」言い放ちすがりつく忠七を傘でさんざん打ちすえて、ついには下駄で忠七の額をけりあzわらいながら永代橋を渡って行ってしまう。 だまされたと悟り途方にくれた忠七は身投げをしようとするが、通りかかった侠客の弥太五郎源七に助けられる。
新三内
新三はお熊をなぐさみ、押入れの中に縛って押し込めていた。鰹売りがやってきていい気分で朝湯から帰った新三は三分の鰹を買う。白子屋がお熊を引き取りにきて金がはいることを宛てに贅沢すぎる初鰹を買ったのだった。そこへ善八とともに顔役の弥太五郎源七はやってくるが、「つれて逃げてくれというのでつれてきた」という。源七は十両でお熊を返せと言うがその高飛車な態度も気に入らない新三は金を叩き返す。面目を潰され、我慢に我慢を重ねた末に帰っていく。老年を迎えた源七をやりこめたといい気になっていた。
家主内新三内
困り果てた善八の話を聞いて家主の長兵衛がやってきた。新三等が初鰹を肴に酒を飲んでいるところに「三十両で娘を返せ」と言う。 百両はとるつもりの新三は納得せず「上総無宿の入墨新三だ!」とすごんで見せるが、長兵衛に「入墨者を長屋に置いておくことはできない。どこの家主の前で刺青を自慢する奴がいるのか!出ていけ」と言われる。 さらに「かどわかしの罪で訴えるか、三十両で承知するか」と詰め寄られて新三はしぶしぶ三十両でお熊を返すことにした。お熊を白子屋に返し後、長兵衛は「鰹は半分もらったよ」と言う。金を出せと新三が催促してやっと金を出す長兵衛だが、十五両まで数えると、またもや「鰹は半分もらったよ」という。納得いかない新三に繰り返し、半分の十五両はもらうよ、と言うのである。おまけに 滞った店賃もとろうとするので新三も開いた口がふさがらない。十七両と初鰹の半身を巻き上げた長兵衛が帰ろうとしたところに、大家の家に泥棒が入ったという知らせがやってきて新三はほっとするのだった。
深川閻魔堂橋
恥を欠かされた弥太五郎源七は先日馬鹿にされた一件以来、新三に腰抜けだのと言いふらされ侠客としてのプライドをずたずたにされたことを恨みに思って深川閻魔堂端で待ちうけ切り殺す。お熊は白子屋に戻され又四郎と祝言を挙げるが枕を交わさず自害しようとする。が、間違って又四郎を殺してしまう。そこで善八の姪お菊は白木屋の恩を返すときと罪を被って自害する。新三殺して源七は捕らえられるがお熊が自首して白状するのを見て自分の罪を認める。奉行大岡越前守は寛大な処置を下すのだった。

見 処

新三が忠七の髪をすきながら騙し始めるところ。それに永代橋で悪人に豹変する新三は思わず緊張。ほととぎすは啼いたが鰹売りの声はまだ聞かないといっていると鰹売りの声がする。そしてやり手家主との交渉のくだり。漫才のようです。

 

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