左官の長兵衛は将来の博打好きで年の瀬も押し詰まっているのに仕事も放り出して朝帰りしている。家では娘のお久が行方不明になって女房のお兼が大騒ぎをしていた。お久は吉原の角海老に身を売って五十両の金を父のために作ったのだった。その五十両を受け取って吉原から帰る本所の石切り場で身投げしようとしている和泉屋の手代文七を救う。文七は屋敷のかけ金五十両を失って死のうとしていたのだが、長兵衛は持っていた五十両を与えてしまう。普段の生活を知っているお兼は信じない。そこへ和泉屋清兵衛が現れ、なくなったといっていた五十両の金は屋敷にあったこと、文七を救ってくれた礼にお久を請け出し文七の女房にしたいと申し出てくる。のれんを分けてもらった文七は文七元結(髪を束ねる紙紐)を売り出す。
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