人里はなれた北山の山奥に鳴神上人の庵室がある。朝廷に恨みを持つ上人(毛抜参照)が雨を降らせる竜神竜女を滝壷に封じ込めてしまったた。そのために雨が一滴も降らず世の中は困りきっていた。鳴神上人の弟子白雲坊黒雲坊が仕えている。そこへ雲の絶間姫という絶世の美女がやってきて夫を亡くして四十九日、
夫の形見の薄衣を洗いたくてこの滝までやってきたという。鳴神上人は亡くなった夫と絶間姫の馴れ初めを事細かに話し上げ、姫の裾から垣間見える女の魅力にメロメロになってきて壇上から転落する。失神した上人は絶間姫が口移しで水を飲ませると気がつく。
しかし昔、一角仙人が宮廷の陰謀で色仕掛けにかかった話を思い出し絶間姫を疑うと、疑われてしまっては生きていられないとと滝壷に身を投げようとする。あまりに哀れで尼になりたいというので鳴神上人は白雲坊、黒雲坊に剃刀と袈裟を取りに行かせる。すると突然、絶間姫がお腹が痛いといい始め、上人は介抱してあげようと絶間姫の懐に手を入れる。乳房、下半身と生まれてはじめて女体に触れてメロメロになってしまって欲望を押さえかねて結婚したいという。姫は結婚の酒杯をしようと酒を無理矢理勧め、縄の秘密を聞き出した上、泥酔させてしまう。そのすきに絶間姫が竜神を封じ込めていた縄を切って竜神竜女を開放して山を下っていく。絶間姫は宮廷の差し向けた諜者だったのだ。とたんのがんがん降り始めた大雨で入れ違いに白雲坊黒雲坊が戻ってくる。姫が逃げ去ったあとで、鳴神上人は騙されたことがわかり激怒して絶間姫のあとを追いかける。
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